はわわっ、羽輪のどかですっ!
今回紹介する漫画は『マエストロ』です。
この漫画は、謎の凄腕指揮者・天道の手によって、解散してしまったオーケストラが復活していく様子を描いた音楽漫画です。
濃密なストーリーと丁寧な人間ドラマが特徴の本作は、全3巻と短いながらも、そうは思わせないほどの壮大な漫画となっています。
さすがは、手塚治虫文化賞にノミネートされた漫画だけあるっ!
ということで今回は、完成度の高いオーケストラ漫画『マエストロ』を、紹介します。
目次
漫画『マエストロ』あらすじ
中央交響楽団の元コンサートマスター・香坂真一(こうさか しんいち)は、ある日、解散したはずの楽団から、オーケストラ再結成の手紙を受け取る。
(©『マエストロ』)
思い出の詰まった中央交響楽団の復活に喜ぶ香坂であったが、すぐにその顔は曇る。
手紙を見ても、誰がスポンサーをしているのかもわからない、さらには、指揮者の天道徹三郎(てんどう てつさぶろう)という男も聞いたことがない。
どうやら、期待できそうにないな…と思う香坂であった。
数日後、楽団の練習のために指定された場所に向かった香坂は、驚くこととなる。
なぜなら、練習場は小さな工場だったからだ。
さらに、驚くことに指揮者の天道は、そこで働く小汚いジジイであった。
しかし、素人だと思われていた天道の指揮が始まった途端、オーケストラの演奏が変貌する。
なんと、今までにない迫力の演奏が出来てしまったのだ。
(©『マエストロ』)
そして、天道は言い放つ。『1ヶ月後の演奏会までに、君たちをゼニの取れるオーケストラにしてみせる」と。
いったい、この指揮者は何者なのか!?
こんな感じの漫画です。全3巻で完結しています。
漫画『マエストロ』感想
一人ひとりの人物を丁寧に描いた作品
漫画『マエストロ』では、毎回一人のオーケストラメンバーに焦点を当てて、その人物のストーリーを描いていきます。
いわゆる群像劇ってやつですね。
この群像劇方式が、この漫画を味のあるものにしています。
この世には誰一人として同じ人はいません。
それぞれの人がそれぞれの苦しみや喜びをもって生きています。
そんな多種多様な人間が集まり、一つの音楽を奏でる…それがオーケストラというものです。
(©『マエストロ』)
この漫画では、一人一人の人間ドラマをきっちりと描いているので、その人がどんな気持ちで演奏に向かっているのかということが、全部包み隠さず分かっちゃいます。
この人は、こんな事情を抱えて苦しんでいるんだなとか、この人はこんなことに喜びを感じるんだなとか、全部わかっちゃう。
そして、彼らに感情移入してしまう。
メンバー一人一人に感情移入すると、オーケストラの演奏というものは、そんなたくさんの人々の思いが詰まったとても美しいものなんだと、しみじみ感じてしまうんですよ。
(©『マエストロ』)
数十分の演奏に、その人たちの何十年もの生き様が詰まっているんだと思うと、なんだか胸にこみあげてくるものがあります。
それぞれのメンバーの思いをじっくりと描くことで、読者の感情を少しづつ高ぶらせていく。
そして、その状態で最後の素晴らしい演奏シーンをもってくることで、読者の心にグサッと刺さるドラマを生み出す。
この流れは非常に上手いなと感じました。
最後の演奏シーンとか、あまりにハラハラしすぎて、息をするのも忘れてたもん。
そんなストーリー演出が非常に上手い作品、それが漫画『マエストロ』です。
演奏シーンが美しい
(©『マエストロ』)
漫画『マエストロ』はオーケストラを題材とした漫画だけあって、演奏シーンがとても美しいです。
この漫画では、ベートーヴェンの「運命」とシューベルトの「未完成交響曲」のみが演奏されます。
(©『マエストロ』)
それぞれの曲が持つ、荒々しさや切なさ、朗らかさなど、様々な感情を美しい情景で表現しています。
だから、ページを何気なくめくってるだけで、どんどん引き込まれてしまう。
普段クラシックを聴かない僕でさえ、こんなに圧倒されてしまうんだから、クラシック好きな人にはたまらないと思います。
ちなみに、試しにクラシックを流しながらこの漫画を読んでみたんですが、そりゃもう最高でしたね。
(©『マエストロ』)
しかし、そんな数ある演奏シーンよりも美しいのが、最後の演奏シーンです。
今までの美しい演奏シーンも、最後の演奏を盛り上げるためのものでしかなかったと言い切れますね。
それぐらい、美しかった。
単純な絵だけで見たら、他のシーンの方が美しいと思うんですよ。
でも最後の演奏シーンは、今までの集大成ですから。
メンバー全員が、様々なものを背負って、本気で演奏してる場面ですから、迫力が段違いなんです。
彼らの気迫あふれる演奏に、引き込まれずにはいられませんでした。
伏線を綺麗に回収し、美しい結末へ
漫画『マエストロ』は終わり方が素晴らしいですね。
もう何度も言っていますが、最後の演奏シーン(厳密には本番1日目の演奏シーン)の迫力がすごい。
「今までの物語は、全てこのシーンのためにあったんだな」と感じずにはいられないほどの素晴らしい演奏に、僕の心は強く揺さぶられました。
(©『マエストロ』
そして、最終巻で明らかになる主人公・香坂と指揮者・天道の秘密。
あのエピソードの結末は個人的にかなり好きでした。
切なくて、でも優しい…最終巻にふさわしいエピソードでしたね。
そして、一番驚いたのが、本番2日目の演奏シーン。
あのシーンは全く予想外の出来事が起きて、めちゃくちゃ驚いた記憶があります。
しかも、突飛な展開じゃなくて、実は前の話でちゃんと伏線貼ってあるっていうね。
そのことを知って、二度驚くっていうね。
まあ、ネタバレになるので、ここでは言いません。
最後も綺麗に終わったので、とても読後感がよかったです。
欲を言うなら、後日談として、もう1話追加してもよかったんじゃないとは思いましたけど。
漫画『マエストロ』感想まとめ
漫画『マエストロ』は、ストーリー構成がよく練られた完成度の高い音楽漫画ですっ!
それぞれの人々の思いを丁寧に描いた人間ドラマ。
それらを下地に展開される美しい演奏シーン。
そして、きれいに伏線を回収してのラスト。
まるで、流れるように美しく終わりを迎えたこの漫画、作者の手腕にただただ脱帽するばかりです。
短いけど完成度の高いクラシック漫画を読みたい人に、おすすめっ!
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